睡眠時無呼吸症候群(SAS)の
検査
睡眠時無呼吸症候群の検査は、睡眠中の呼吸状態を評価するための重要なプロセスです。この検査では、睡眠中に発生する呼吸の停止や低下の頻度、酸素飽和度の変化、いびきの状況などを詳しく調べます。一般的に、自宅で行う検査と、病院や専門施設で行う検査に分けられます。
簡易睡眠検査
SASが疑われる場合、まずは自宅で行う簡易睡眠検査が適応になります。簡易検査は、装着が簡単な機器を用いて基本的なデータを収集し、睡眠時無呼吸症候群の可能性をスクリーニングするものです。
検査方法について
YouTubeで見る終夜睡眠ポリグラフィー
簡易検査でSASが疑わしい場合、基本的には次のステップとして精密検査が必要となります。ポリソムノグラフィー(PSG)と呼ばれる方法を用い、脳波や心電図、筋電図など多くのデータを記録し、より詳細な情報を得ることが可能です。方法としては在宅で行う方法と、病院などの監視可能施設へ入院して行う方法があります。患者様負担の軽減のため、当院では基本的に在宅でのPSG検査を提案させて頂いておりますが、診察の結果、睡眠時随伴症やてんかん発作等、SAS以外の疾患の可能性(SASとの合併を含めて)が疑われる場合は、監視下での検査が必要となるため、適切な入院施設へご紹介させて頂きます。
検査方法について
YouTubeで見る睡眠時無呼吸症候群(SAS)の
診断
診断は、検査結果に基づいて行われます。無呼吸や低呼吸の発生回数(AHI値)、症状の重症度、そして患者の全体的な健康状態、ご症状を総合的に評価します。例えば、AHI値が一定以上であれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されることがあります。この診断は、適切な治療方針を決定するための重要なステップであり、生活の質の向上や健康リスクの軽減につながります。
診断基準
睡眠時無呼吸症候群の診断には、無呼吸・低呼吸指数(AHI)が用いられます。
AHIは1時間あたりに生じた無呼吸・低呼吸の回数になります。AHI≧5回/時以上で、かつ下記のⅰ~ⅳのいずれかを満たす場合に診断となります。これらを満たさない場合はAHI≧15回/時で診断となります。
- 昼間の眠気、熟眠感欠如、倦怠感、不眠症状の訴えがある
- 呼吸停止、あえぎ、あるいは窒息感を伴って覚醒する
- ベッドパートナーによる睡眠中の習慣性いびき、呼吸停止の報告がある
- 高血圧、気分障害、認知障害、冠動脈疾患、脳卒中、うっ血性心不全、心房細動、2型糖尿病のいずれかを伴う
- 軽度
- AHI 5〜15
- 中等度
- AHI 15〜30
- 重度
- AHI 30以上
無呼吸の重症度や影響度に応じて、治療が必要か判断されます。
初診時の検査・診断の流れ
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問診・睡眠尺度評価
初診時は問診、診察を行います。問診票や質問紙表などを使用して、お困りの症状や、睡眠の状態をお伺いします。
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スクリーニング検査/簡易検査
携帯型装置を用いてご自宅で簡易検査をご自身で行って頂きます。検査装置は基本的に業者よりご自宅へ郵送させて頂き、検査終了後、ご返送頂きます。
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ポリソムノグラフィー(PSG)検査/精密検査
簡易検査の結果、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)検査が望ましいと判断された場合、特別な場合を除き、当院ではご自宅でのPSG検査を行っていただきます。簡易検査と同様に検査機器をご自宅へ郵送させて頂きますので、検査をして頂き、終了後、ご返送をお願いいたします。
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診断
検査結果に基づいて、SASの重症度、上気道形態(鼻やのどの形)、顎顔面形態(あごの大きさ)、体格、年齢、症状、合併症等を総合的に判断して治療方針をご提案させて頂きます。